2stroke with powerband -It's always smokin' on the road.


ライディング いかにして曲がるのか? 加速・減速 倒しこみ
加速そして減速
バイク便ライダーと共同開発したシールド撥水剤 VISOR SCIENCE
加速そして減速、基本中の基本です。
加速というかアクセルワークについて
アクセルを開けてエンジン回転を上げ、加速していく。
単純なようでそうでもなかったりする。
普段、4ストに乗ってるヒトにバイクを貸すと、たいていのヒトは、パカパカとアクセルを開ける癖が付いているようで、まともに加速していない。低回転でも丁寧にアクセルを開けていけば、2ストとはいえ普通に走ることができるのだが、負圧キャブのおおらかな特性に慣れすぎているようでうまくいかないことが多い。下手をすると、クランクケースに生ガスを飲ませすぎて、プラグかぶりを起こすこともある。
アクセル開度に連動したオイルポンプもガバガバオイルを押し出しちゃうので、オイル消費も増える、街中でナンバープレートがやたら汚い2ストを見かけることがあるが、よく観察してると、大体がアクセルワークが雑である。オイル飛びで有名な某社のバイクでも丁寧なアクセルワークのヒトのはテール周りがとてもきれいだったりする。所詮、人間次第といったところか。パワーバンドに入っていてフル加速中ならワカランでもないが、基本はアクセル開度20分の1刻みのアクセルワークを心がけたい。ビミョーなアクセルワークを会得すると思いのほか低い回転でも走れてしまうので、燃費が良くなるという経済的なメリットもある。
実際、どんな感じでアクセルを開けていくのかというと、回転の伸びにあわせて、それに乗っかるような感じでジワっと開けていくと、心地よい加速が得られるはずだ。回転がついてこないのにカパカパとアクセルを開けて、「開けてるわりに、反応悪いエンジンだねぇ」なんていわないように。
加速姿勢
タンク後端に股間を押し付けて、ハンドルにしがみついているヒトが多いが、非常に疲れるのではないかと思う。
親のカタキのようにニーグリップするよりもシートストッパーがあるバイクなら、そこに尻を当てる。シートストッパー無いバイクならシートが後ろ上がりに傾斜しているところに尻を当てさえすれば、加速で体が置いていかれることはないはずだ。また、バイクの重心位置から離れた、シート後方の高い位置に着座していれば、進路変更の際などにバイクの向きを変えやすくなるから、こちらの場合にも無駄な力が要らなくなる。もちろん、腕が伸びきってしまうほど後方に座る必要は無い。しかし、タンクにビタッと伏せる場合などは上体がつかえてしまうので、多少なりとも後ろに座らざるを得なくなる。
シートが滑りやすい?そういうヒトはシートの皮を張り替えることをお勧めする。⇒シート張替え工房クリオネスピード
上体は前傾させる。タンクの上まで伏せて加速するなんてことは通常では無いと思うが、軽く上体を前傾させ、頭の位置を低くするだけで、人車を合わせた重心位置が下がり、過大なピッチングモーションが起こりにくくなる。
バイクにもよるが、高速域でハンドルが振られてくることがある。
この場合、ハンドルグリップを上から掴むようにするよりは、腕を水平気味にしてグリップエンドを後方から押してやるようにすると、少ない力で済むことがある。あまりに強烈に振られてしまった場合には、がっちりとハンドルを掴んでいるよりも、片手を離してやるぐらいの感じのほうがいい。ハンドルの振れの周波数に体が付いていけるわけでもないので、この方が安全だったりする。一番いいのはそんなになるまで速度を出さないことだ。
・減速
ブレーキングである。
ここでは停止するためのブレーキングではなく、コーナーへの進入準備としてのブレーキングについて述べる。
ブレーキをかけると当然のように減速Gが発生する。
ある速度で走っているものはその状態を維持しようとする慣性が働く。
そこへ減速するためにブレーキをかけるわけだが、車体プラス人間には慣性がついているので、今までの速度を維持しようとし続ける。この前に進み続けようとするチカラをタイヤの接地面が受けとめる。タイヤはフロントフォークによって車体に懸架されているので、フロントフォークは縮みながらこれを支え、前下がりの車体姿勢が生まれる。このときに車体の質量に慣性が加わった力は前方、フロントフォークを介したフロントタイヤの接地面で受け止めることになる。
これを一般にブレーキングによる前輪荷重の増加と呼んでいる。
・減速姿勢
さて、車体にブレーキがかかり減速を始めても、バイクに乗ってる人間様にはブレーキが付いているわけでもないので、どうにかして体を支えていないと減速を始めた車体に自らの持つ慣性力で車体にぶち当たるか、車体から射出されて前方へ吹っ飛ばされてしまう。人間様も車体と一緒に減速していくようにしなければいけないのである。電車に乗っていて、減速に耐えるために吊り革につかまったり、足を踏ん張ったり、そういった余地がない場合に隣のヒトに寄りかかって支えていただくようなアクションが必要なのである。
電車のように隣にヒトが立っていてくれるわけじゃないバイクの場合、自分の体を車体の一部で支えるしかない。
その場所を列記してみる。
・ハンドル
・シートの座面
・タンク側面
・タンク後端
・ステップ
こんなところでしょう。
支える姿勢といっても上半身と下半身では支えるところが違うので切り分ける。
まずは上半身。
よく言うヒトがいます。「ブレーキングのときにハンドルに力を入れるな!ハンドルで体を支えるな!」
まったくナンセンスですな。
バイクの場合、ハンドルにブレーキレバーが備わっていて、それを握ることでブレーキを効かせる。
作用・反作用を利用しているのだから、ブレーキを握るにはどうやったってハンドルにチカラを入れざるを得ない。
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ハンドルに力を入れずにブレーキレバーを握れるヒトがいたらそのヒトは物理の法則を超越しています。
そういった超人のテクニックは常人には実現不可能です。
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しかし、用もないのにハンドルにチカラを入れておく必要はないので、
必要なときに必要な分だけ力を入れ、必要がなくなれば脱力することが肝要である。
また、巨大な減速Gから上半身を支えるのに常人の筋力だけで絶対に耐えられるはずがない。
上半身で車体の一部に接して支えられるのは腕しかないわけで、筋力で支えきれない分はどうしたってハンドルで体を支えざるを得ない。
ただし、体をハンドルで支えるにしても、ひじを伸ばし腕を突っ張って上から押し付けるのはよくない。
上から押し付けると、フロントフォークを縮める方向に力がかかってしまい、急激なノーズダイブを誘発しやすい。
急激なノーズダイブはフロントタイヤのグリップを失わせ、転倒につながる恐れがある。
軽く前傾し軽くひじを曲げて(ひじを下げる)、上から押し付けるというよりも前に押すような感じで支えてやれば、直線的にフォークを縮める方向には力がかかりにくくなる。
ブレーキレバーを下向きにしている場合、ひじを下げるとレバーが握りにくくなる。レバーを水平気味にしておくのが無難だ。というか、レバーが下向きだから上から押さえつけるような握り方になってしまうのだろう。これはポジションセッティングの問題でもある。
また、ひじを曲げてやるとブレーキングを終えて倒しこむ際に力を抜きやすいという利点もある。
まとめてみると、
「ブレーキレバーを握るのに必要な力以外はなるべく入れないようにする」
「背筋力を使って上半身を支えるが、足りない分はハンドルで支えるしかない」
「ハンドルで体を支える場合、軽く前傾しひじを曲げて上から押し付けないように支える」

といった感じになる。
・次に下半身のホールド。
下半身のホールドは、シートの座面、タンク後端、タンク側面、ステップ周りで複合的におこなう。
シート座面では支えるというか、着衣とシート生地との摩擦に期待するしかない。
でも、けっこうこれは馬鹿にならないもので、革ツナギだったりするとわりとグリップしてくれる。
ガソリンタンクはバイクをホールドするのにうってつけの場所である。
教習所で「ニーグリップ」の名のもとに教えられるのが典型だ。
ただ、細いタンクの場合にひざを締め付けたところで滑ってしまうことがままある。
ハングオフスタイルでコーナリングする場合にあらかじめお尻をズラしてブレーキング体勢をとるとうまくニーグリップが出来ないことがある。そんな体勢のときに有効なのがタンク後端に片足の大腿部を当てて支えるという方法だ。大腿部といっても足の付け根近くではなくひざより少し上のあたりになる。リーンウィズの状態で股間をタンク後端に当てて支えるヒトもいるようだが、あまり前のほうに座ると前述のように上半身がフロントを上方から押し付ける形になりやすいし、男子の場合大事なところが危うい。女性でもタンク後端で体を支えていたヒトがジャックナイフを起こし、タンク後端がアソコの形に造形され本人は恥骨を骨折したというアンビリーバブルな話を聞いているのでお勧めしません。
最後にステップ周り。
ステップが前方にあるアメリカンバイクやフロアのあるスクーターだと足で踏ん張ることで下半身を支えられる。
スポーツバイクだとおおむねステップが後方かつ上方に位置しているものが多くステップそのものを踏ん張って支えることは難しい。しかし、ステップ周りにあるヒールガードなどの付属物やフレームなんかを利用して体を支えるように工夫できる。ステップに乗せた足を少し外向きに開いて内側のくるぶし付近を引っ掛けることでホールドするのだ。このあたりは車種によってまちまちなので、まったくホールドできない構造のステップだってある。
といった感じで、バイクの各部を利用して減速Gに耐える姿勢をとることになる。
耐えるといったところで、自分に働いている慣性によって前方に体がもっていかれるのは避けようがないので、あらかじめ前方にあるものに体を当てるか後方にあるものに引っ掛けておいて支えるしかない。
無駄に力を入れて踏ん張っても疲れるだけなので、ラクな方法を自分なりに見つけるしかないというのが結論である。
・ブレーキングの実際
ブレーキのかけ方である。
バイクは前後にブレーキが備わっているのだから、両方のブレーキをうまく使うことが安全で確実なブレーキングになる。
といっても、自分のように古傷のせいで右足首がきちんと機能せずリアブレーキがうまく使えないヒトもいたりする。
直線で加速をし、コーナーが迫ってきたらブレーキングを開始する。
このとき、フロントブレーキよりもリアブレーキをワンテンポ早く踏むことをお勧めする。
リアブレーキを作動させると、スイングアームは閉じる方向(リアサスは縮む方向)に動こうとする。
これはフロントブレーキをかけたときの急激なノーズダイブに伴うテールリフトを抑制する働きとなる。
リアブレーキからワンテンポ遅れて、フロントブレーキをかける。
フロントブレーキのかけ方は、いきなりガツっとかけてしまうと、タイヤが急激な負荷に耐え切れずグリップを失いロックしてしまいかねない。路面がよく、ハイグリップなタイヤだとロックはしないまでも、急激なノーズダイブを引き起こしリアタイヤのリフト=ジャックナイフ状態になってしまう。
これを避けるためによく言われるのが、2段階ブレーキングだ。
始めは緩めにブレーキをかけ、フロントタイヤが路面に食いついたら、強くブレーキをかける。
路面にタイヤが食いつく感覚は、反復練習で体に覚えこませるしか方法はない。
こうして確実なブレーキングをおこなうと、リアタイヤの接地圧が下がり、少ないながらテールリフトを起こすことがある。このときにリアブレーキをかけたまんまだと、リアがロックしてホッピングや蛇行を始めてしまうことがある。
ここに至っては、リアブレーキの制動力など期待できなくなってしまうので、リアブレーキを踏むのをやめてしまえいい。
リアがリフトしてしまうほどの強力なブレーキングなんざしないよというヒトがほとんどだと思うけど、リアのロックは日常茶飯事的に起こることなので、制動時のリア周りの動きは頭においておいたほうがいい
ブレーキングの基本はこんな感じ。
実際は、迫ってくるコーナーが右だったり左だったりすることで異なるブレーキングをすることがある。
たとえば、自分は腰を内側に落としたハングオフスタイルでコーナリングするが、倒しこみ以前のブレーキング時から腰を左右どちらかに落としている。このスタイルをとるとコーナーが右か左かでリアブレーキの使い方に差が出てしまう。
右コーナーの場合、内足側になる右足は割とフリーな状態なのでリアブレーキを踏むことが出来るが、左コーナーになるとブレーキング時のホールドに右足大腿部、足首を使用するために、また、右足首が古傷のせいでうまく動かせないのだ。無理にリアブレーキを使おうとして車体のホールドが甘くなってしまうのは論外のことなので、左コーナーへ進入する場合のブレーキング時においては、ほんの初期にリアブレーキを効かせ、あとはブレーキペダルから足を離し車体のホールドに専念していることがほとんどである。
・シフトダウン
オートマチックなバイクでない限り、ブレーキングして車速を落としたらついでにシフトダウンをしなくてはならない。
シフトダウンをしなくてもコーナーに進入することは可能だが、高いギヤのままでは後輪の駆動トルクが足りなくなって、コーナーを脱出することが出来なくなってしまうからだ。低いギヤにシフトダウンし、エンジン回転を高く保ちつつ後輪の駆動トルクを高めなくては下手をすると失速し転倒してしまうのである。
それじゃ、いつシフトダウンをはじめるのか?
ブレーキをかけ始めてすぐ?それともブレーキで充分に減速した後にシフトダウンするのか?
ここは後輪の回転数の問題が出てくる。
高いギヤで車速がでてるってことは、後輪は高い回転数で回っている。
ここで減速するためにアクセルを戻す。そうするといわゆるエンジンブレーキの状態になる。
この状態は、慣性を持った後輪がエンジンを無理やり回そうとする状態である。
エンジンはクランクの重さや圧縮、その他もろもろの機関抵抗を持っている。
その抵抗によって徐々に後輪の回転数を落としていくことをエンジンブレーキと称している。
さて、シフトダウンをするとどうなるのか?
低いギヤに落とすってことはおおざっぱにいうと後輪の回転数を落とそうということだ。
1つくらいのシフトダウンではエンジンブレーキの作用を大きくする程度だが、2つ3ついっぺんにシフトダウンをすると強力な減速作用がいろいろと不具合をもたらす。
高い回転数で回っている後輪をシフトダウンでいきなり減速しようとすると、慣性がついている後輪は急激な回転数の変化に付いていけず滑りを発生する。ついでに、後輪はその回転数を維持しようとするから逆にエンジンを回そうとし、エンジン回転数は跳ね上がる。もとのエンジン回転が高い状態だと強制的に回転を高められるためオーバーレブしてしまうこともありうる。急激なエンジンブレーキによるタイヤの滑りはホイールスピンのように滑らかなものではなく、断続的な跳ねるようなものになりがちでこれがホッピングと呼ばれる状態だ。場合によっちゃ後輪が蛇行し始めることもある。当然ながらミッションなどの駆動系にも負荷がかかることになる。コレを回避するためにシフトダウン時にアクセルを吹かしてエンジン回転を上げ、駆動系の回転数に近づけてやったり、半クラッチを当てて滑らせてやることで負荷を逃がしてやったりするわけだが、車速の高い状態からいっぺんに2つも3つもシフトダウンをするときなどは小手先のゴマカシが追いつかないことがままある。そういった状態では安定したブレーキングは望めない。
んじゃ、どうすればいいのか??
じつはとても簡単である。アクセルオフによるエンジンブレーキと前後ブレーキによって充分に車速を落とし、後輪の回転数を落としてからシフトダウンをすればいいのである。
ブレーキングと同時にあれこれいっぺんにやろうとするから、かえってギクシャクしてしまい安定した減速ができなくなってしまうのだ。であれば、最初はブレーキング、車速が充分に落ちたら次にシフトダウンと順序だてて操作を行ってやれば駆動系に余計な負荷をかけることもなく安心・確実な減速がおこなえるようになるのである。
あらためて書いてみると、ブレーキングって技術的には大したことしてるわけじゃないんだなぁと思った。
レバーを握ったり、ペダルを踏んだりすることって技術的に難しいなんてことはまったくない。
それよりもブレーキをかける前に体勢を整え、そしてブレーキング中にいかに体をホールドしておくかってことのほうがはるかに重要だ。
減速Gに耐えつつ、両手両足をバラバラに動かしてブレーキング・シフトダウンの操作を確実に行なうためには、きちっと体をホールドしておかなければ不可能だし、危険ですらある。小手先の技術を操るよりも確実な減速姿勢の保持こそが、安全・安心なブレーキングにつながるものであると確信した次第だ。
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