暖機運転考 |
暖機運転しますか? ・・・そりゃ、しますよ。 何分くらい? ・・・何分って言われてもねぇ。エンジンが暖まってツキがよくなるまでゆっくり走る。時間は季節によって変わる。 えっ、いきなり走り出しちゃうの?それって暖機運転してないんじゃないの? ・・・。 |
上記のような会話を何度したことか。 アイドリングで放置しておくことが暖機運転だと思ってるヒトは結構多い。 レーサーじゃあるまいし、始動してからブンブンふかして暖気できるわけじゃない。 エンジンを始動して、アイドリングのまま放置しておくのだってエライ近所迷惑だ。 とくに、やたら喧しいマフラーに換えているヤツなど当局に通報されてしまっても致し方なかろう。 |
うるさくて近所迷惑になるからアイドリングで放置しないのか?人っ子一人いないところならやるのか? 違う。そんなことでは暖機運転にならないからやらないのだ。 |
2ストエンジンは、始動してアイドリングで放置したところで、なかなかエンジンは暖まらない。 始動直後で機関温度が低いのだから、クランクケース内に入っても混合気はマトモに霧化しない。 ということは、クランクケース内に生ガスを溜め込むことになる。 また、ただでさえ、アイドリング付近での失火が多い2ストエンジンなのだ。 燃焼室からも未燃焼ガスがチャンバー内に吐き出され続けるだけでなかなかエンジンは暖まらない。 未燃焼の生ガスがチャンバー内に吐き出され続けるということはどういうことか? エンジンの一部であるチャンバーの温度が一向に上がってくれないのだ。 2ストエンジンにおいて、エンジンを暖めるということは、エンジンの一部であるチャンバーまで暖めなくてはいけない。 低速で走るにしたって、それなりにチャンバーが暖まっていなければ、その機能は発揮されない。 水温計がそこそこ良い温度になるまで待って走り出したところで、クランクケース内に溜め込まれた生ガスとチャンバーがまともに暖まっていないせいで「モモモモモォ〜〜」とカブって吹けない状態になるのが関の山だ。 挙句に不用意にアクセルを開けて、めっちゃ濃い生ガスを燃焼室に送り込んでプラグがご臨終・・・。 充分に暖めたつもりでも、単にガソリンを無駄に排出してるだけでたいして暖まっていないというのが実情だったりする。 |
んじゃ、どうやって暖気をしてるのか? スタータ(いわゆるチョークと称されるモノ)を引いて、キック!エンジン始動。 そうすると、アイドリング回転よりは高めに回転が上がる。 おもむろにバイクを車庫から出すなりして発進しちゃう。 しばらくはスタータを引いたままで走り続け、頃合いかな?と思ったら、スタータを戻して走り続ける。 当然ながら、回転は上げずに高めのギヤにシフトして低い回転を維持し続ける。 交差点などで停止して、発進の際にエンストしそうになったら、再度スタータを引いて濃いガスを送り込んでやる。 そんな感じで、2〜3kmも走れば、ボチボチ暖まってきてエンジンのツキも良くなってくる。 そうしたら、徐々に回転を上げていき(速度が出すぎるならシフトダウンをして)、じっくり、じっくり走り続ける。 だいたい、5〜6kmも走れば冬場でもエンジンは充分に暖まる。 さらに高回転までまわすのであれば、ゆっくりとアクセルを開けイキナリ回転を上げないようにしてやる。 エンジンを始動して放置しておくよりも、こうして多少の負荷を掛けてやったほうがエンジンは暖まるのが早い。 2ストのミッションはエンジンに比べて暖まりにくいから、こうしてやることでミッションもじっくりと暖めてやれる。 |
そんな暖機運転でエンジンを傷めないのか? まったく、傷みません。というと語弊があるかもしれないが、シリンダ・クランク関係は壊したことがない。 バランサのオイルシール抜けは9万キロ近く走ってのことだったし。暖気に問題があるならもっと早く壊れたはず。 人気のないところでもバイ〜ン、バイ〜ンと空ぶかししての暖気はしません。 ガソリンがもったいないし、走行しての暖気はやっぱり必要だから。 |