1号車再生記 その3 |
平成18年5月20日 1号車の再生をと思っていたが、突如現役2号車のステータコイルが死亡してしまったので、 1号車用に組んだエンジンを急遽載せ換えた。 それに伴い、予備エンジンの組み換えなどを行っていたせいで、こちらは全く手付かずだった。 ようやく一段落したので、ステムベアリングの交換にかかった。 |
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物置に立て掛けてあった1号車のフレーム。 フォークもスイングアームも付いてないので軽々持てる。 ステムベアリングの交換は下側のベアリングレースを外すのが面倒なので、こういう状態だと車体をひっくり返して作業が出来る。 |
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ステムのトップナットを外し、アッパーブラケットをとる。 ロックナットは叩き専用マイナスドライバで緩める。 ロックナットを外しオイルシールを外すと、場合によっちゃアンダーブラケットが落っこちてしまうこともあるので注意が必要だ。 |
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トップナットの頭がへこんでる・・・。 袋ナットのあたまがへこむことってあるのでしょうか? 転倒してぶつかった衝撃でへこんだんだけどとっても不思議。 上から叩かれていないことは打痕が付いてないので明らか。 なぜなんでしょう? ステムシャフトが曲がっている可能性を捨てきれないので、3号車のステムを入れ替えることにした。 |
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グリスでギトギトのアンダーブラケットのベアリング。 いわゆるテーパーローラーベアリングだ。 ベアリングに泥が付いているが、地面に置いたら蹴飛ばしてしまってドロが付いただけ。別にここまで泥を巻き込んでいたわけではない。 ローラーがオレンジ色に焼けている。サビはきていないが全体にガタが大きくなっている。コケて衝撃を受けたのだから当然である。 |
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さて、火炎放射器の登場である。 なんでこんなものを使うのかというと、フレーム側に残ったベアリングのアウターレースを外すために使うのである。当然ながらアウターレースは圧入されている。内側のわずかな出っ張りにマイナスドライバなりを掛けて叩き出すのだが、カンコン、カンコン気長に叩くのは面倒なので、バーナーで炙ってしまい膨張率の違いを利用して外すのである。気の短い人間に適した方法である。 |
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ベアリグレース火あぶりの図。 ガソリンタンクを付けた状態では怖くて出来ない行為である。 ベアリングレースを炙るというより、アルミ製のフレーム側を炙る。 時間にして30秒くらいか?頃合いかなと思ったら、反対側からレースの出っ張りをマイナスドライバで叩く。カコンと一撃しただけで、アウターレースは高々と打ち上げられた。簡単なものだ。 |
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外れたアッパーベアリングのアウターレース。 ローラーが当たって強く光っているが、手で触った感じでは特にデコボコした印象はない。上側のレースはあまり傷つかないものだ。 |
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新品のアウターレースを装着。 レースの圧入の前に、もう一度フレームをバーナーで軽く炙っておく。 レースを正しい位置におき、古いレースを逆さまにあてがってカンコン叩く。ある程度まで打ち込めたら古いレースを外してハンマーで均等に打ち込んでやる。フレーム側が暖められているのでたいした時間もかからずに打ち込みは出来てしまう。 |
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下側のアウターレースを外すときは、車体をひっくり返してやる。 エンジンが載った状態ではさすがにひっくり返すわけには行かないと思うけど、横倒しにしてやるだけでも作業効率は段違いだ。とくにかがんだ状態での作業がつらい腰痛持ちにはお勧めの方法である。 |
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下側のアウターレース。 こちらはわずかに打痕を感じる。表面が焼けているのは、グリスがバーナーで炙られたから。構造上、下から突き上げられるので、大抵はこちらのアウターレースの方が傷つきやすいようだ。しかし、作業しにくい方が傷つきやすいというのは困ったことである。 |
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ここまで作業を進めたところで天候が急変。大雨が降ってきたので残りの作業はまた来週。 | |
平成18年6月10日 つづき。 |
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3号車から外したステアリングステム。 KR−1Sのアンダーブラケットは片側のクランプが2本のボルトで締められているが、KR−1のものはボルト1本のみ。剛性うんぬんのコトがあるのだろうが、レーサーでもないので気にしない。 ステムにはまっていたベアリングは、バーナーで炙っていい感じに膨張させ、ベアリングのツバの部分にマイナスドライバを当ててガツンと行く。気休めにCRC5−56でもステムシャフトに塗っておくといいかも。結構キツイのでシャフトを傷つけないように。 |
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さて、ステムにベアリングを打ち込まなくてはいけないのだが、ベアリングドライバを持っているわけではないし、インナレースに合うパイプを持っているわけでもない。そもそも、キツイところにバチバチ打ち込むのは面倒なのでキライだ。 ということで、ベアリングをストーブの上で暖める。暖める時間は5分くらいか? 優良納税者なのでこの時間を利用してタバコを一服。こうして、国鉄の残した債務の利払い及び林野庁の累積債務の返還に寄与し、7月からは児童手当の拡充の為にご奉公するのだ。 納税負担だけ重く、しかし納税者として受けるべく利益を得られないことにひとしきり不満を覚えた頃にはベアリングはあつあつの状態に。やけどしないようにステムにはめ込む。 ベアリングを入れる前にオイルシールをはめ込むのを忘れないようにする。 |
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いい感じに膨張したベアリングのインナレースにマイナスドライバを当て、軽くハンマーでコツコツしてやる。 たいしてチカラも加えずにベアリングは奥までキッチリ納まる。 |
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ベアリングをステムにはめ込んだら、グリスを塗りこむ。 指先でローラーをグリグリしながら中までグリスが入り込むように。 グリスは普通のリチウムグリス。耐水性があればなんでもいい。 かつて高価なものを使ったことがあるが、あんまし変わらなかったので安モンで充分と判断している。いいモンつかっても何年何万キロもほったらかしじゃ意味ないので、安モンでもマメにステムを抜いてグリスアップするとよろしい。 |
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上側のベアリングにグリスを塗って、オイルシール、ダストシール、ロックナットをはめ込み、アッパーブラケットを載せる。 ロックナットを締めてベアリングの締め込みを調整しなくてはいけないが、この状態ではガタが分かりにくいのでフォークを入れる。 トップナットは、ベアリングの調整が終わったら締め込む。 |
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フロントフォークを入れ、各クランプを締めておく。 フォーク末端を持って、前後に揺するようにしてガタを調べる。 ガタがあれば、ロックナットを締め込む。このとき、一気に締めこんではいけない。チョットずつ締めてはガタを確認し、徐々に作業を行っていく。ガタがなくなったら、少しロックナットを緩めてガタが出る位置を確認する。もう一度ロックナットを締めてガタが消えたら作業終了。 キツク締めてもなんもいいことはないので、ギリギリの位置で決めるのかコツだ。夫子曰く「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。 |
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KR−1Sのステムはテーパーローラーベアリングで支持されている。 高荷重に耐えられ、耐久性も非常に高い。 新品を組んできちんとしたメンテナンスをしていれば、普通に走る分には10万キロも問題なく走れる。 ただ、ギャップの多い路面でハードなブレーキングをするとか、ジャックナイフが趣味である場合にはその限りではない。 また、車両の保管も雨ざらしであるのは論外だが、屋根がなくカバーをかけて保管している場合でも、かえって湿気が抜けないために傷みやすくなったりもする。やはり定期的なメンテナンスが必要だ。 テーパーローラーはステアリングが重いなどと言われているようだが、そんなことは微塵も感じたことはない。 ベアリングのトルク管理が難しいと思われているようだが、別段難しいと感じたこともない。 日常的にメンテナンスをするには、ベアリングに到達するまでに、カウルやらメーターやらが邪魔で手がかかる部類ではあると思うが、年に一度の掃除とグリスアップは欠かさないようにしている。 ブレーキング中にギャップにはまり、簡単にガタが出てしまったボールベアリングを目の当たりにすると、テーパーローラーベアリングの耐久性の高さはありがたいものだとしみじみ思う。 |
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