2stroke with powerband -It's always smokin' on the road


1号車再生記
平成17年の5月に1号車は原因不明の転倒(直線でコケた)により予備役へ編入された。
部品取りの3号車を入手したことにより、不足していたパーツがいちおう揃ったので1号車を再生することにした。
2号車の現役登録時はエンジンの載せ換え、足回りの移植、電装系の組み換えなどを毎晩少しずつやって1週間で仕上げたが、今回は切迫感がないから完成がいつになるのかはわからない。
短気な上に飽きっぽい性格なのでますます完成の日は遠のくだろう。
平成18年4月16日
軒下ガレージの物置の隅に置かれた1号車。
2号車に身ぐるみ剥がれて丸裸である。
普段は一輪車などを立て掛けられている。
奥には壊れたカウルが置かれている。
こちらは器用な人に修復を依頼。
とりあえずはエンジン。
画像は3号エンジン。いと汚し。
長期に放置されていたのであろう、ギヤオイルを抜こうとしたら水のようなモノが最初に流れ出て、あとからグリス状になったモノがポタリポタリ。オイルが分離していたとはおそれいります。冷却水も赤く妙な粘性を持った液体が出てきた。クランクは生きているのだろうか?
3号車のシリンダヘッド。
オイルのせいか茶色く焼けてます。
プラグを見るとキツネ色に焼けていて燃焼状態は良かった模様。
ヘッドのサーモスタットが入っている冷却水路。
サビとクーラントのスラッジが混ざって金鉱石のようになっている。
水道のホースを突っ込んで水圧で吹き飛ばす。
剥がしたヘッドガスケット。
近い将来にあるであろう部品絶版にそなえ捨てずに取っておく。
黒い塗膜を全部剥がし、デイトナの高耐熱ガスケットフィットを吹いてやると再生できる。今回はストックがあるので新品を使う。
シリンダ側面にあるレゾネータ室。
低中回転時に主排気ポートから排気を寄り道させて反射波の同調タイミングをずらしている。オイルの燃えカスが堆積しているが大体このようなもんである。ひどいエンジンは液状のままオイルが溜まっていたりする。
外したシリンダ。
排気ポート側のクランクケースとの締結ナットに普段使っているメガネレンチが掛からない。薄いレンチを使って外した。どうやらKR−1とSのシリンダは中のポート部分だけではなくシリンダそのものの鋳型が違うようだ。
KIPSの排気バルブ。
Sの排気バルブとは表面処理が違う。
KR−1のものは表面に光沢がある。
丁寧に扱わないとボキッと折れる。シリンダに固着しているバルブを力任せに抜こうとすると折れます。
KR−1とSではサブ排気ポートの高さが違うので使わない。
恒例のパーツなべ。
シリンダ1個とヘッド、レゾネータカバー、排気バルブを入れたら一杯になっちゃったので大型鍋に移した。ストーブの上でぐつぐつと煮る。水分が蒸発したら水を足しながら数時間。
サビてやしないかと危惧していたクランク。
とても美しい状態でホッとする。乾いていることもなく、きちんとオイルで保護されていた。ただし、本当に機能するかはエンジンをかけて走ってみるまでわからない。とりあえずは期待できるとおもう。
パーツを鍋で煮込むうちにクランクケースについたベースガスケットを剥がす。エンジンのオーバーホールでいちばん時間がかかるのはこの作業。今回は一度も開けられていなかったエンジンなのでひどい固着状態だ。なんかうまく剥がす方法はないかと思案していたところに先日使用した塗装はがし剤を発見。そこら辺に転がってた筆でガスケットの上に塗ってみた。しばらく放置したら繊維がほぐれたのかとても剥がしやすくなった。でも、クランクケースの合わせ面に使っている液体ガスケットまで溶かしてしまっていた。ものすごい溶解力だ。
ガスケットを剥がし終えたところ。
塗装はがし剤ではがしやすくなったものの、熱で焼きついているような部分はスクレイパーで根気よく削り取るしかない。根気がない人間なので、頻繁な休憩を入れながらダラダラと作業をおこなった。
結局2,3時間はこの作業をしていた。非常に消耗する。ココまでやったら、あとはペーパーやオイルストーンなりで表面の当たりを取る。
1号エンジン。
ギヤオイルがクランクケースに入ってきてしまう。
エンジンオイルよりも消費の速いギヤオイルとは如何なものか?
こちらのエンジンも同様の手順でバラしていく。
1号エンジンから、シリンダ、ヘッド、排気バルブを3号エンジンに移植するのだ。