2stroke with powerband -It's always smokin' on the road.


スパークプラグについて
バイク便ライダーと共同開発したシールド撥水剤 VISOR SCIENCE
圧縮された混合気に着火し燃焼を行わせるきっかけを与えるもの、それがスパークプラグだ。
中心電極と接地電極間に火花を発生させ、電極間に火種(火炎核)を作り出す。作り出された火種から燃焼室内の混合気に燃焼が伝わっていく。プラグに電気を流す元になるのがイグニッションコイルであり、イグニッションコイルは2万〜3万ボルトもの高電圧をハイテンションコードを介してプラグに供給している。一部ではプラグ上部にハイテンションコードを介さないダイレクトイグニッションシステムが存在するらしい。
さて、プラグに求められる性能だが、単純に高温・高圧下の燃焼室内で確実に混合気に着火できればよい。
別に電極が吹き飛ぶほどの火花が飛ぶ必要はない。
スパークを発生させるには要求電圧というものがあって、イグニッションコイルの発生する電圧がプラグの要求する電圧よりも下回ってしまうと火花を飛ばすことができない。すなわち失火である。
スパークし、生成された火炎核が電極に触れて温度を奪われ吹き消されてしまう消炎作用。これも失火につながる。
また、電極間がカーボンその他で直結されてしまうと火花を飛ばせなくなって、これまた失火する。くすぶりやかぶりがこれに相当するものだ。こちらは燃調(キャブセッティング)やプラグの熱価の選定にかかわるもんで火花を飛ばす能力とは別に対処すべきものだ。
失火率がどのくらいあるか詳しい数値までは知らないが、失火ゼロということはまずないらしい。
この失火を減らすには、おおざっぱに二種類の方法がある。
ひとつは、高電圧を供給してイグニッションコイルからの電圧がプラグの要求電圧を下回らないようにする方法。
もうひとつは、プラグの要求電圧自体を下げる方法。
はじめのほうはイグニッションコイルの発生電圧を上げたり、低抵抗のプラグコードに換えてロスを減らすといったもの。
中にはコードにいわくありげな細工をして電力を増幅するんだかで、「○○倍のスパーク」とかいうものもある。
しかし、概してこの手のリプレイス商品はエクスペンシヴである。
ウブな頃に使ったことがあるが、費用対効果的に???なところもあったし、プラグが異常に消耗したのには閉口した。
ヘタってるプラグコードを換えると効果があるのは確かだから、お安めの低抵抗なタイプに交換するのはおすすめだ。
車両によってはイグニッションコイルの根本からプラグコードが抜けないものがあるが、エクスペンシヴなプラグコードをジョイントでつなぐよりは、イグニッションコイルごと純正部品に換えてしまったほうがいいんじゃないかと思う。
で、つぎはプラグ自体の要求電圧を下げる方法。
これは中心電極に細いものを使っているプラグのことである。尖がってるところにカミナリが落ちやすいのと同じ理屈だ。
かつてはゴールドパラジュームをつかったNGKのVプラグ、プラチナのVXプラグなど。最近は同じ白金族でも高融点、対酸化性などに優れたイリジウムが流行りである。中心電極が細いと要求電圧を下げられるので、点火系への負荷も少なくすることができる。電極がぶっといと火炎核の成長時に電極に熱を奪われて消炎作用が働いてしまうが、これも少なくできるので失火率を下げられる。接地電極もV字に掘ったり、テーパーをつけて工夫しているものが多い。
VプラグからVX、イリジウムと使用してきたが、通常プラグとは性能が違うのは明らかだった。
通常プラグだと1万2千回転で頭打ちしてしまうが、電極の細いタイプはもう500回転伸びてくれる。
これは通常プラグではその回転域での要求電圧がイグニッションコイルからの供給電圧を上回ってしまい、失火してしまっていたのだが、プラグを換えたことにより要求電圧を下げることができて確実に点火できるようになったものと思われる。オーバーレブ領域での500回転の伸びはコーナーの立ち上がりでまだバンクしてる最中のシフトアップをせずに済むことができるのでとても重宝するのだ。
・突き出しプラグ
BPR○○ESとかの”P”である。プロジェクトタイプといわれるプラグについてである。
通常タイプのものより電極の位置が突き出しているタイプのプラグだ。
このタイプのプラグは電極部が突き出していることにより、混合気にさらされやすくなり着火性が向上する。
また、燃焼室容積が突き出しの分だけ減少するので少ないながらも圧縮比が向上する。
短所としては熱にさらされやすくなるためハイチューンエンジンでガンガン回していると接地電極が溶けたり折損などのトラブルを起こす。
まぁ、ワインディングでブン回す程度ではまったく問題ない。
自分はKRにもDTにも突き出し型のプラグを使用している。
使用感としては明らかに中回転域での力強さが違う。
街乗りやワインディングではとても使いやすい。DTでもヤブこぎトレッキングなど、フロントアップが要求される場面などで効果が見られた、
もっとも双方とも軽くチューンしているのでノーマル状態でこれほどの違いを感じられるかは疑問ではある。
KRの場合は、NGKのR4304Aというレーシングプラグの10番を使用している。
DTには特価品で買いだめしておいたBP9EVというVプラグを使用している。
これは抵抗なしのプラグだけど、プラグキャップに抵抗が入っているのでノイズの問題はクリアされている。
こちらはBP9EV。突き出し型のプラグ こちらはBR9ES。普通のプラグ
こんがりきつね色 KRで使っている。R4304Aの10番。
左の画像はのんびりと下道をツーリングしたときのもの。
6速、3〜4000回転で流していたときのものだ。
低回転で走っていたので、やや湿った感じで色も濃く出ているが、ガイシも接地電極もいい色に焼けている。ネジの端面部はオイルカーボンで黒くなっている。高回転時はもう少し色が薄めになる。
・プラグギャップ
中心電極と接地電極の隙間。これがプラグギャップだ。
ギャップが広いほど火炎核の成長を妨げず、消炎作用も小さくなる。
しかし、放電するために高い電圧が必要となってしまうため、イグニッションコイルの能力が足りなくなって失火してしまう。
ギャップが狭い場合は逆になり、要求電圧が低くなるから高負荷時の失火は少なくなるが、消炎作用は大きくなってしまう。
中心電極の細いモノを使うと要求電圧を低くできるので、比較的広いギャップで使用出来るようになる。
というわけで、適度なプラグギャップが必要になるわけだが、バイクの場合だと0.7〜0.8mmに設定されていることが多い。
新品プラグだときちんとしたギャップになっているわけではないので、シックネスゲージを使って適正なギャップに調整する必要がある。
NGKだったかな?イリジウムプラグだと「ギャップ調整はしないでください」と箱書きしてあったが、ゲージで測ってみると0.1mmくらいは誤差があったりする。誤差があるんじゃ調整するしかないので、自分で調整します。
実際のギャップ調整はどのようにしているかというと、トップギヤで高回転まで回すのである。
高回転・高負荷になれば要求電圧が高くなって失火しはじめる。失火しはじめれば回転は頭打ちになってそれ以上回らなくなってしまう。
100回転でも200回転でもオーバーレブ領域を使いたいので、少しでも回転が伸びるようにギャップを縮めていくのである。
あまりギャップを縮めていくと低中回転で失火してバラつきが出てしまうから、その領域で失火せず高回転もそこそこ伸びるギャップは自ずと決定されてくるわけだ。同じ品番のプラグでも誤差はあるので、交換のたびに同じことをしてギャップの調整をしている。
2気筒以上の場合は気筒ごとで差が出てしまったりするので、排気口の汚れ具合を見て調整することもある。
まぁ、あまり神経質になる必要はないが、せっかくプレミアムプラグに変えるのであれば多少手をかけてやるのも悪くはなかろう。
ちなみにKRの場合は0.7mmに設定している。DTでは高回転の伸びは必要としていないので0.9mmと広めのギャップをとっている。
当然ながら、走行がかさんでくるとプラグは消耗してくるのでこまめにギャップを測って調整していく必要がある。
意外と見落としがちなのが、接地電極の磨耗だ。カドが丸くなってきちゃうのである。
デンソーのイリジウムプラグを使っていたときのことだが、さすがに豪語するだけのことはあって中心電極の磨耗は驚くほど少なかった。
しかし、中回転域でバラつきが発生し、高回転で頭打ちが早くなったので、いろいろとチェックをしていったのだが、原因は接地電極のカドが丸くなって失火するようになってきたことだった。シックネスゲージを当てて測っても中心電極と接地電極の平面部はほとんど磨耗していないのでギャップは広がっていなかった。しかし、火花が飛ぶのは接地電極の平面部ではなくカドの部分である。ここが丸くなっていたのを見落としていたのだ。まぁ、2ストで1万キロも使えばメーカー的には充分長持ちですと言いたいところだろう。
・熱価
プラグには熱価というものが存在する。プラグの放熱性の度合いを番手で示したものだ。
番数が大きいものほど「冷えやすく」、番数が小さいほど「焼けやすい」ということになっている。
一般に前者を「冷え型」、後者を「焼け型」と呼びならわしている。
冷え型はガスポケットの容積が少ない。よって、燃焼ガスにさらされる範囲が少なく反対にシリンダヘッドなどへの放熱経路が短いので熱が放散されやすくなるのである。焼け型はまったくこの逆になる。
通常はバイクに標準採用されている熱価でオールマイティに走れるものだが、車種によって街乗り程度ではカブりやすいものがあるようで低熱価(焼け型)のプラグを選択できるようになっている。逆に高熱価(冷え型)を指定しているものもある。KR−1Sは標準の熱価は10番であるが、なぜかメーカー出荷時は9番のプラグだ。カタログスペック的に10番のほうがカッコよいと判断したからであろうか?
ノーマルの状態では9番のプラグで低回転から高回転までなんら不具合もなく、こんがりきつね色に焼けていたのだが、すこし吸気系をイジっただけで9番のプラグでは白焼けしてしまうようになった。下の画像はキャブセッティングはベストなのに熱価不足で焼けすぎの例。
キャブセッティングをしていっても、いっこうにプラグに焼け色が付かないのである。
ガスが薄いのかなと?メインジェットをどんどん濃くしていっても焼け色が付かない。
そのうちに濃すぎてプラグがカブるぐらいまでいっても白いまんまだったのだ。
ここに至って初めて熱価のことを思い出し、10番のプラグをつけてみた。
今度は思いっきりプラグが黒くなった。
そこから、メインジェットを薄くしていって適正なセッティングを出していったら、きちんと焼け色が付くようになったのだ。えらい苦労をしたものだ。
こんな感じで熱価の変更をしなくてはいけない場合もある。
10番なんて熱価のプラグはホームセンターには置いてないのでノーマルプラグですらバイク用品店で買わざるを得ないところがつらい。
その上、ストリートユースの突き出しプラグでは10番の設定がなく、仕方なくカート用のレーシングプラグを使っているのである。
たかが熱価、されど熱価である。
トップページへもどる