☆2stroke Oil☆ |
2ストといえばオイルである。 バイクに積まれている2ストエンジンではクランクケースにオイルをためて飛沫や圧送でエンジン各部を潤滑する方法はとれない。レーサーや草刈用の刈払い機のように、オイルをあらかじめ混合したガソリンを使用するか、別途オイルポンプを駆動してキャブレターやインテークマニホールドあたりで混合気に混ぜたり、クランクケース内に噴射する分離給油方式がとられる。一般的に公道走行車には分離給油が使用されている。もっともガソリン・オイルともに品質の良くなかった時代には混合したはずのガソリンが分離してしまったり、潤滑が上手くいかなかったりでレーサーにも分離給油が使用されていたらしい。 |
|||||||||
オイルにはおおまかに植物油・鉱物油・化学合成油の三種類がある。中には植物油と合成油を混ぜたものもあれば、鉱物油と合成油を混ぜた部分合成油なんてものもある。植物油ってのは、コーン油やサラダ油ではなくて、いわゆるひまし油。Castor oil。カストロールの由来である。昔は下剤に使われていたらしい。最近はオイルマッサージやらダイエットやらに使われてもいるらしい。色々使えて便利なアブラのようだ。この植物性オイルは強靭な油膜保持性を誇るらしい。いまだにレース用の世界では幅を利かせているみたい。大抵は混合専用オイルだ。最近はひまし油ベースでも分離用に使えるものも出ているらしいが使ったことはないのでよく知らない。鉱物油は原油を蒸留、精製したもの、化学合成油はナフサを化学的に分解し、必要な成分だけを再合成して作られるものだそうだ。最近、高級オイルの成分として名が知られるようになったエステルは植物やら動物の脂肪酸とアルコールから合成されるらしい。いずれにしろ、あくまでベースオイルの話でココにいろいろな添加物を加えてオイルは作られる。化学合成オイルなら植物性オイルを超えるものができるのだろうに、なぜいまだに植物性オイルが存在するのだろう?と思っていたが、理由はコストの問題だそうだ。高価なコストをかけて高性能な合成油を作るより、植物オイルのほうが安価に高性能を手に入れることが出来るとのこと。なるほど。 | |||||||||
バイクメーカーのラインナップから一部の原付を除いて2ストバイクが一斉に姿を消した頃、2ストオイルが高騰するとか手に入らなくなるなどの噂がたったものだが、今のところ問題は無いようだ。オイルはけっこう色々なものを使用してきている。それこそガソリンスタンドで買ったオレンジの香りのするものまで使ってみたことがある。 2ストオイルにはなにやら規格が存在する。JASOなる規格である。JASOエンジン油規格普及促進協議会というところが認定しているようだ。もともとはFA,FB,FCの3ランクだったそうだが2003年3月の改正でFAは廃止され新たにFDグレードが新設されている。ちなみにFDグレードのオイルはまだ見たことがない。ガソリンスタンドで売っているスクーター用オイルでも大抵はFCクラスである。FA,FBなんていうのはついぞお目にかかったことがない。ちなみに規格は以下のようになっている。 |
|||||||||
FA | 2サイクルエンジンにとって最低限の性能を有する(現在は廃止) | ||||||||
FB | FAに比べて特に潤滑性、清浄性に優れる | ||||||||
FC | FBに比べてさらに排気煙、排気系閉塞性に優れる(ロースモークタイプ) | ||||||||
FD | FCよりもエンジン高温時の清浄性が高いもの | ||||||||
☆オイルを選ぶ基準。 レースをやってるワケじゃないから、あくまで分離給油式のお話。基準といっても大したことではない。 ・カブらないこと ・エンジンが汚れにくいこと ・あまりに盛大なスモークを吐かないこと ・安いこと 以上の四点でしかない。 カブリはある程度オイルポンプの調整でクリアできることが多いが、高回転で適正になるようにすると、低回転やトルクの谷がある回転でどうしてもカブリやすくなるオイルがある。 次にエンジンが汚れにくいこと。経験上、高級オイルだからエンジンが汚れにくくて安モンだから汚れやすいということはなかった。「高回転でブン回してればエンジンは汚れない」っていうヒトもいるけど、いつでもどこでも高回転で全開のまま走れるという御仁にはお目にかかったことがない。街乗りが前提なので低中回転域を多用する、そういう回転域で使用しても汚れにくいオイルが求められる。自分にとっての基準は高回転域だけの性能じゃないので、“いいオイル”というのは低回転でも高回転でも不足のない性能を持つオイルのことだ。エンジンの汚れはシリンダヘッドを開けて確認するのが一番良いが、プラグや排気口を見てある程度の判断はつく。次にスモーク。あまりにスモーキーなものは気が引ける。とはいってもスモークの少ないオイルほどエンジンの中の汚れがキツイような気もする。スモークが出ないのは燃えてないからじゃないの?と思うくらいだ。そこそこスモーキーなオイルのほうがピストンヘッドや排気ポートのデポジット類は少ないように思える。したがってほどほどのケムリを吐くものがよいかと思う。 一番重要なのが安いコト。年間2万キロ弱の走行で、かなり回して乗るからオイルは結構消費する。かなり悪く見積もってリッター1,000キロとして2万キロだと20リッターも消費するのだ。ビンボー人にはリッター2,000円も3,000円もするオイルは買えない。ブランドで潤滑しているわけじゃないので安いオイルの中でいい物を探して使用している。 |
|||||||||
|
|||||||||
☆スミックス続報 | |||||||||
近所のホームセンターでのスミックスが値上げされた。4リットル1,100円(税込)になった。 約一割の値上げである。昨今の原油高の影響であろう。世知辛い世の中である。 |
|||||||||
☆他車種での評価 | |||||||||
そんな安モンのオイルで大丈夫なのはお前のKR−1Sだけだろうと言われる方もおられるかも知れない。 我が2stroke with powerbandには'88NSR250R,'89NSR250Rを駆るメンバーがいるが、両人ともスミックスの愛用者である。他のオイルでは激しいオイル飛びでナンバーが汚れていたが、スミックスに変えてからは著しく改善している。 当然ながらエンジンはすこぶる好調であり、ローコストで高性能を得ることに成功している。 |
|||||||||
|
|||||||||
☆お勧めのオイル? ブランド志向のヒトにお勧めするオイルはありません。お好きなブランドのオイルをご使用ください。 純正が一番と考える方にもお勧めするオイルはありません。純正オイルを使いましょう。 エンジンとの相性やライダーのスロットルワークにもフィーリングは左右されるから、一概にコレがいいとは言えないけれど自分が使ったオイルでよかったものは、下記の4種類。気に入らなくてもご意見無用に願います。 |
|||||||||
|
|||||||||
現在愛用中のSUMIXは別として、スズキ純正のCCISは満足のいくオイルだった。250のガンマ(並列もV型も)に乗っていた知人が年中カブらせていたのを見ていて、なんとなくオイルが悪いのかな?と思っていた。周囲でもナゼかダメオイル扱いされていた。地元のホームセンターで4リッター1,522円(税込)という値段にクラクラして買ってしまったのだけれど結果は良かった。カブリも無かったし、デポジットが溜まりやすいという事も無かった。ただスモークが少し多いオイルだった。知人のガンマがカブリやすかったのはクランクやシリンダにオイルを直接給油するシステム(CCIS)のせいで低中回転域ではオイルの供給過多になっていたせいではないかと考えるが、どうだろう? |
SUMIX愛用中のKR−1Sのテールエンド。 オイルがキレイなあめ色に焼けている。 汚らしいデロデロのオイルやスラッジの堆積は皆無だ。 汚れは軽く拭くだけで取れてしまう。高回転で回したときにココにススが多く付くようになるとプラグの失火が考えられる。プラグに異常がなければピストンリングのヘタリ・摩耗が原因だ。排気口の汚れ具合でエンジンの状態の判断がつけられるよう常にきれいにしておきたい。 ココが汚れてくるのが早くなってきたら、ピストンリングの交換をしている。リング交換時期の目安としても役立っている。 |
|
・マフラーからのオイル飛びについて 多くの場合、サイレンサー部に溜め込まれた未燃焼オイルが排気の圧力によって吐き出されると考えている。 バイクによっては、リアタイヤの回転によってシート後方やライダーの背中まで巻き上がり汚れてしまうことがある。 この原因は燃えにくいオイルと排気温度の低さであるとおもわれる。 4ストのサイレンサーは街乗り程度での走りでもかなり熱くなるが、2ストのサイレンサーはそんなに熱くならない。 したがって街乗りなど低速で走っているときにシリンダー内で気化もしくは霧化した状態のオイルがマフラー内、 とくに温度の低くなるサイレンサー部で液化して溜まりこんでしまうものと考えられる。 溜まり込んだオイルは粘度が非常に高く、低速での排気圧力ではなかなか吐き出されるには至らない。 これが高回転に至ると、排気圧力が高まって吐き出されやすくなる。また、高回転域を多用した走りではサイレンサー部まで充分に熱が加わり、溜まりこんだオイルの粘度が下がることも吐き出されやすくなる要因になる。 また、サイレンサーの構造も大きいと考えられる。 サイレンサー内をパンチングパイプが貫通しており、パイプの周囲をグラスウールで覆っているものはサイレンサーでの温度低下が少なく、オイルが溜め込まれにくいと考える。このタイプの場合、グラスウールが未燃焼オイルでびしょびしょに浸されるとオイル飛びが始まる。次にサイレンサーが箱になっていてパイプが貫通しておらず、中でパイプが互い違いになっているもの。これはサイレンサー内で一旦膨張させて音を小さくし、別のパイプで排気させるもの。膨張式などというらしい。DT125Rがこのタイプだが、パイプが貫通していないことに加え、箱の中で温度が下がりオイルが溜まりやすいようだ。いずれにしろ非分解のものは何らかの方法でサイレンサーを焼いてオイル分を飛ばしてやるしか方法はない。 オイルを溜め込みたくなかったらサイレンサーを高温に保つ走りをするか、燃えやすいオイルを探すかのどちらかになる。 ちなみにDTのサイレンサーを焼いたら、はっきりわかるくらい軽くなった。よほど溜め込んでいたものと思われる。 また、スモークはキャブのセッティングを決めていくと冷間時以外はほとんど出なくなる。イキナリ全開って時にはどうしても出ちゃうけど。 |
|
書かなくてもいいかもしれない余計なコト。 2ストといえばよくエンジン焼きつきのイメージと結び付けられるが、オイルそのものが原因での焼きつきはほとんど無いのではないか?オイルポンプ・ラインの故障や吸排気系の改造をしたにもかかわらずキャブのセッティングをきちんと出さずに乗っちゃったとか。あと、けっこうな距離を走っているのにオーバーホールをしていないとか。ピストンリングやシリンダが減ってスカスカになっている状態じゃ、カブリやすくなるしエンジンも汚れるしスモーキーであたりまえ。いくらいいオイルだって限界があるでしょ。焼きつきには限らない話だけど、オイルの良し悪しをウンヌンするまえに基本的なメンテナンスが出来ていないのではお話にならない。排気口がカーボンやデポジットでデロデロになってるバイクで「○○のオイルはいいね」などといわれても説得力を感じない。そもそもオイルに限らずブランドのみで良し悪しを語ろうとするヤカラとは話をしないことにしている。オイルにあわせてオイルポンプの吐出量を調整するだけでもかなり違う。バイクの出荷時の状態では安全マージンを見越して設定されているから、大抵は多めに吐出されている。エンジンの回転に比例して吐出される部分は調整できないと思うけど、アクセル開度によって調整される部分はワイヤーを調整することで吐出量を変えられるはずだ。コンピュータ制御のオイルポンプについてはよく知らないけどアクセル開度の部分は調整できると思う。やるなら自己責任で。 |