2stroke with powerband -It's always smokin' on the road.


maintenance7
平成18年3月25日
☆ガソリンタンクのサビ取り☆
先日、部品取り車(以後3号車と称する)を手に入れた。
KR−1SではなくKR−1である。似たようなもんだが結構違うトコロが多いのですべての部品が使えるわけではないが、エンジン、外装などは十分使えるのだ。3号車は解体して1号車再生の尊いイケニエになってもらうのだ。3号車のカラーは紅白でおめでたい。しかしながら、やはり黒緑が好きなので塗り替え決定。色を塗る前に当然のように錆びているガソリンタンクのサビ取りをしなくてはならないのである。
典型的なタンクのサビだ。 注入口付近。イチジルしく錆びてます。
影になって上手く撮れていないがタンクの中もサビでゴリゴリ。
タンクを振ると波が打ち寄せるような心地よい音が・・・。
映画の効果音に使うわけでもないのでキッチリとサビを落とします。
酸が効く! 一が効く、二が効く、酸が効く。サンポールの登場である。
黄ばみスッキリ!、まぜるな危険のサンポール。
お徳用3リットルを781円(税込)で購入。
バイク用品店でサビ取り専用の液体を買ったことがあるが、いまいちである。いずれの製品も即効性がないのである。「ひどいサビには24時間・・・。」24時間や48時間でも落ちなかったことがある。そもそも短気モノにはそのような長い時間は耐えられないのだ。
そこでサンポールだ。短気モノがあわてるくらい早く効くのだ!
ゴロリと横倒し。傷つけたくないヒトは下に柔らかいものを敷きましょう。 サンポールを原液のままタンクに投入。
コックなどは外さない。面倒だから。どうせ死んでるし。
15分間隔で立てたり、横にしたり、逆さまにしたりしてあらゆる部分を強酸攻撃!注入口のあたりは棒切れなんかでこすってみたり。ちょろいサビはあっというまに落ちます。
すでにサビはほとんど落ちている。 原液攻撃で敵のイキオイを削いだら、タンク満タンまで水を注いで液を薄める。この状態で2時間ほどじっくり攻撃を加えるのだ。
放置している間に2号車(現役)のタイヤ交換(ホイール持込)に行ってくる。
キレイになったタンク内面。 2時間ばかり放置したあと、液を半分ほど抜いてタンクをシェイク!
振動を加えて浮き上がったサビに止めを刺す。
燃料コック、注入口のキャップを外し、流水で液を排出する。
液を排出したらすかさずマジックリンで内部を洗浄することを忘れてはいけない。サンポールによって酸化したタンク内面をアルカリ性のマジックリンで中和するのだ。こうしておかないと水を抜くとすぐに錆び始めてしまうのだ。中を覗いてみてみるとキレイにサビが落ちてる。画像で月の海のようにグレーの濃いところがサビが落ちた跡だ。
キレイにサビは落ちた。
しかし、予測していたとはいえ小さな穴が開いていたことが判明した。
場所はタンク左側の燃料コック付近である。サイドスタンドにより左に傾いた状態で長期にわたり放置されていたのであろう。タンク内の水がこのあたりに寄って内面を腐食してしまっていたのだ。
穴の処理は内面、外面の両方から行うが、とりあえずはサビの再発を防ぐことも含め内面の処理だ。
サビを落としただけではいずれサビが再発する。そこでタンク内面をコーティングすることでサビの再発を防ぐのだ。
市販の一液性サビ取り剤はリン酸が主成分だそうだ。(液体のほとんどは界面活性剤)リン酸がサビを取ったあとにはリン酸塩皮膜なるものができるそうだ。このリン酸塩皮膜によってサビの再発を防ぐようであるが、実際のところサビる。リン酸に亜鉛を加えてリン酸亜鉛処理をすると耐食性、密着性が増すそうだ。塗装の下地処理に多く使われている方法だそうだ。しかしながら、こんなものは身近にないので違う方法でコーティングするしかない。対ガソリン性のある素材といえばFRP樹脂である。RP製のガソリンタンクが存在するので問題はないはず。FRPの樹脂にはポリエステル系とエポキシ系があるがエポキシ系は高価なのでポリエステル系を選択。
亜鉛の防錆塗料のことで、あるメーカーに問い合わせたときに「FRPのポリエステル樹脂って大丈夫?」と聞いたところ、「完全に硬化してしまえば問題ないでしょう」との返事。ただ、コーティング前に脱脂処理を丁寧に行わないと密着性に問題が出る可能性があるとのことだった。
1kgは多すぎ。500gで充分だな。 で、さっそくコーティングに取り掛かる。
コーティング前にアセトンで十分に脱脂処理。火気厳禁。
アセトンを排出したら、エアガンや扇風機で中を乾かしましょう。
画像はホームセンターで購入のFRP用ポリエステル樹脂。
硬化剤も買うことを忘れてはいけない。
ポリエステル樹脂と硬化剤の割合は100:1である。
プラジョッキに樹脂を流し、硬化剤を丁寧に混ぜる。
KR部品小屋にて放置。ガラクタが沢山おいてあるぞ。 タンクの上面がコーティングしにくいので、樹脂の注入はタンク下面のコック部分から行う。当然ながらタンク上面のキャップ部分はガムテープで厳重にフタをする。タンクをひっくり返しながらに両側面、そしてタンク下面と時間を掛けてコーティング。あらかた行き渡ったら、コック部分から余分な樹脂を排出させる。なかなか排出できないので、コックの下にジョッキを置いて自然に垂れてくるのを待ちながら放置乾燥させる。このときコックのネジ穴がふさがらないようにボルトをさしておく事が肝心だ。2,3日放置しておくと完全に乾燥する。
2,3日どころか一週間も放置して完全乾燥させた。
タンク内面の樹脂はきれいに硬化していたが、注入口付近は中和がうまくいってなかったらしく、うっすらサビが浮いた状態で樹脂コーティングされていた。まぁ、空気に触れないからこれ以上進行することもないので放っておく。できれば、色のついた樹脂だと気にならなくてよろしいかも。つぎは、タンクにあいたピンホールの穴埋めをしなくてはならない。
ホームセンターの塗料コーナーにある塗装はがしのほうが安くて量が多かった・・・。 金属パテで穴埋めをする前に塗装をはがす。
どうせ再塗装になるので、思い切って塗装はがし剤でガツっといく。
250mlのを1本買ったが足りなかった。あとでホームセンターで買い足した。
どろっとした液体をぬりまくる。 しばらく放置しておくとンメキメキいいながら浮き上がってくるぞ。
見てるとムズムズしてくるぞ。 美しきタンク裏面。
塗装はがしをハケでタンクに塗りつけていく。5分ほど放置しておくと、諏訪湖の御神渡りのように塗装が浮き上がり亀裂が走っていく。スクレイパーで掻き落としながら何度も作業を繰り返す。
思いのほかタンクの塗装は厚い。ツルっとキレイに剥がれるわけではないので、途中で水を流しながらブラシで洗い流すこともする。赤白タンクのはずなのに何故かライムグリーンのペイントが・・・。
どうやらカワサキさんは赤白モデルの注文が入ると緑タンクを塗りなおして出荷していたようだ。おそるべし!
KR500のようなシルバータンクもステキだ。 2時間ばかりの作業を終え、きれいになったタンク。
なぜか、コーションステッカーだけは剥がれなかった。
ところどころ薄っすらとライムグリーンのペイントの名残が見える。
星座のような穴の配列だ。 タンク裏面のピンホール。
これ以外にあと3箇所くらい穴があいていた。
いちおう、内面は樹脂コーティングされているけど心もとない。
万全を期すためスイングアーム補修でも使ったGM−8300を使って穴埋めをする。
信頼性バツグンのGM−8300。
きちっと計量してから使用しなくてはならぬ。
硬化剤が多すぎても強度が出ないのである。
タンク裏面と側面の穴にパテをすりこむ。
事前に付属のペーパーで表面を荒らしておくことが肝要。
塗りつけるときは、指先に水を少し付けてやるとパテの伸びがよく穴にすりこみやすかった。ついでに転倒&金属疲労で破断したカウルステーも補修した。接合面が細長く不安定なので木に立てかけて倒れてこないように固まるのを待つ。ある程度固まりだしたら、ストーブの上に載せ熱硬化を促進させた。
・・・という具合でタンクのサビ取りは終了した。ガソリンを入れて漏れのチェックをしたが特に問題なし。
塗装はしていないがこれは友人にお願いする予定だ。
今回得た教訓は、なるべく早めに固まるFRP樹脂を使用するほうが良いということだ。
今回使用した樹脂は規定量の硬化剤を使用したにもかかわらず、24時間以上経たないと硬化しきらなかった。
あまりに硬化が遅いと樹脂が外に流れ出て塗膜が薄くなってしまう。
サンポール+FRP樹脂によるサビ取り&コーティングは安価で効果の高い方法であると結論付けてよいと思う。