2stroke with powerband -It's always smokin' on the road


DT125R再生記その7
キャブレター交換
DTのキャブはミクニVM26である。長年にわたる放置のせいか、調子がよろしくない。
突然オーバーフローしたとおもったら、何もせずになおったりする。
また、チョークノブは引っ張った位置でロックしないのである。
ゆえに始動時には、ノブを左手で引いたまま、車体をまたぎキックしなくてはいけない。
これは身体のカタイ人間には非常にツライ姿勢であり、何度、ぎっくり腰の危機を迎えたことであろう。
オーバーフローの原因と思われる二ードルバルブの値段は高いし、チョークノブもけっこう高い部品である。
ぼろいキャブに金を掛けるのももったいないので、物置にゴロゴロしているKRのPWK28を使うことにした。
PWK28である。
カワサキKR−1用のキャブレターであり、のちにレーシングキャブとして販売が始まったキャブレターの名品である。
このキャブは3号車(KR−1)についていたものだ。
エアクリーナジョイントはDT200Rのもの。DTをもらった時点で200のジョイントが付いていた。ノーマルキャブ用に125用を買いなおしたが、PWKには合わないので200用のものを改めて注文した。
VM26とPWK28の比較。
高さはほとんど変わらないが、前後長においてはPWKの方が短い。
これにより、車体への付け外しが多少はラクになるであろう。
重さは圧倒的にPWKの方が軽い。
PWKにエアクリーナージョイントを付けた状態でもVMキャブ単体の方が重い気がする。VMにはラジエータから温水を回すパイプなんぞが付いていて邪魔くさい上に重い。
PWK換装にあたって買い足したもの。
スロットルバルブ上部のフタ。DTのワイヤーにあわせてバナナ管?の付いたタイプ。
チョーク(スターター)ノブ。KRはワイヤー式なのでノブに交換。
フロートチャンバー。底のボルトを外すとメインジェットが交換できるタイプ。キャブの付け外しが面倒なので。
キャブを変えたらスロットルワイヤーの長さが足りなくなった。
ガラクタ箱にKRのダメになったスロットルワイヤーがあったので、インナーケーブルに利用した。
ワイヤー末端のタイコをどうしようかと考えたが、ハンダで丸っこく作ることで解決。万力にかましてプライヤーでガンガン引っ張っても取れなかったので大丈夫でしょう。
車体に取り付けたところ。
なかなか収まりがいいじゃないですか。
キャブ前方に見えるダクトの根元のようなものはYEIS(インテークチャンバー)を嵌めるところ。もらった状態で付いていなかった。付けてもスロットルワイヤーに干渉しそうなので付けない。
キャブ交換となれば、当然ながらセッティングをしなければいけない。
KRについているPWKのメインジェットはリプレイス品についている六角型ではなく丸大と呼ばれるもの。メインジェットホルダーの形状が違うのだ。135番から162番まではKRのキャブセッティング時に購入していたので、それ以下のサイズを探した。ポッシュ?のNS−1用のメインジェットセットがあったので購入しておいた。
トップ部分のネジを失くしてしまい、ホームセンターではM4のネジを探していたところ目に留まったのが蝶ネジ。ドライバーを使わずに取り外しが出来るのがよろしい。
車体右側からのカット。
アイドルスクリュー、燃料の取り入れ口がこちらに移動。
燃料フィルターを入れていたせいで、車体左側にあった時は、ホースの距離が短く取り回しが難しかったが、反対側になったので余裕を持って取り回せるようになった。画像左のフレーム部分のブラケットにリヤブレーキのリザーバタンクが付くのだが、キャブ周りをいじる際に非常に邪魔である。そのうちに場所を移動せねばなるまい。
キャブの口径が28mmということと、単室125ccということ、そしてエアクリーナーボックスの容量から、おおまかにメインジェットを決めてやる。とりあえずはこれぐらいかな?とメインジェット125番でキャブセッティング開始。エンジンを始動し、まずはエアスクリューでスロー系の調整をする。そのあとで、空ぶかしである程度の吹けを確認し、試乗に赴く。低回転から中回転でのツキを確かめたら、長い直線で高回転まで回しプラグチョップをする。プラグを抜いて焼けを確認。ちなみに高いギヤで高回転まで回さずにプラグチェックしてもメインジェット選定の役には立たない。
すこし薄い感じなのでメインジェットを1番手上げる。
☆プラグの焼け色について
なにやら最近では、プラグの焼け色は灰色か白で普通と言われるようだが、これは4ストのことだと思ったほうが正解。経験上、2ストには当てはまらないので鵜呑みにしてはいけない。2ストは4ストエンジンよりも燃焼温度が低くオイルを混ぜるせいもあって、プラグに焼け色が付く。きちんとセッティングのされたエンジンは、やはりこんがりきつね色に焼けるのである。また、街乗りの低中回転主体の乗り方ではカブリ気味でも仕方ないとの考えもあるようだけど、きちんとセッティングが出て(出せて)いないだけなのでこれも間違い。バイクによっては出荷時の状態で乗っていてもカブリ気味の車両が多く見受けられるが、べつにそれがベストな状態なわけではないだろう。焼き付くよりはカブッたほうがマシということで、ガソリンもオイルも濃い目に振っているものと思われる。
メインジェットの交換は、キャブの前後のジョイントを締めるバンドを緩め、キャブを90度傾けて底のサービスキャップを外して交換する。キャブを傾ける前に、エアベントからガソリンが漏れてしまわないようにキャッチタンクで受け止めてやる。メインジェットを130番にあげ、ジェットニードルのクリップ位置を一段上げたら、ドンピシャでセッティングが決まった。ピークは変わらないが、中回転域でトルクが増し、アクセルオンでのフロントアップがラクに決まるようになった。
ということで、ようやくDT125Rの再生は終了したのである。
追記
テストのため2,3回通勤に使ったが、ノーマルキャブのときにくらべ燃費が1割以上向上した。
かなり高回転まで回しての燃費がリッター23km。コレを3回連続して記録した。
同条件でノーマルの時にはリッター20kmを切るくらいだった。もっともノーマルといったって調子の良くないキャブだったので比較の対象にならないかもしれない。
オイルポンプをつけていないので混合ガソリン使用だが、混合比は70:1くらいである。
この混合比で6速で吹け切るまでまわしてもなんら問題は起きていない。一番焼き付きの起きやすいパーシャル状態での高回転維持や高回転からのアクセルオフ⇒エンブレの状態も当然ながらテストしているが全く問題は出ていない。
リザーブに入って給油するとおおよそ7リットルほど入るが、そのときに100ccのオイルを混ぜている。
単にキリがいいので70:1だが、街乗りくらいで高回転まで回さないのであれば、200:1でもOKだった。
オイルは当然ながらSUMIX(スミックス)2サイクル用である。
給油時にオイルをタンクに投入し、その後にガソリンを入れることで自然に撹拌されるようにしている。
平成20年5月27日追記
混合仕様はツーリング時の頻繁な給油で面倒くさくなり、分離給油に戻した。
オイル燃費はリッター1700キロ程度。
ピストン交換、サイレンサーのお焚き上げなどをしたのち、キャブセッティングは再度とりなおした。
サイレンサーのオイル抜きパイプより水が滴り落ちるようになった。完全燃焼しているのであろう。
燃費は上記と同じ通勤経路でリッター30kmをマーク。ちょっと回し気味に走ってもリッター27kmと恐ろしくよくなった。
ドライブスプロケットは林道仕様の14T(ノーマルは17T) 。二次減速比は3.785である。
平成20年9月23日追記
YZ用ビッグタンクの装着により、航続距離の大幅な増加を果たした。
燃費も外気温が下がり、熱ダレしなくなったせいか、街乗りでリッター30キロが普通になった。
信号の少ない田舎道を走ればさらに良い燃費が出るかもしれない。
実質15リットルあるビッグタンクでの航続距離は450kmとなった。メインが13.5リットルなのでリザーブまで400kmは走る。
ガソリンはハイオクを使用。圧縮が上がっているせいか、レギュラーだと一割程度燃費が悪化するからである。
現在、ハイオクとレギュラーの価格差は一割もないので、ハイオクを入れていたほうが経済的である。
平成22年9月23日追記
通勤途中に突如エンジンストップ。
クランクがダメになってしまった。やはり放置期間の長いエンジンはフルオーバーホールが必要なのだと実感した。
クランクシャフトを新品に交換した。トルクフルになり、燃費も大幅に改善した。
日常の通勤使用で平均リッター40kmの驚異的な燃費をマークし続けている。
ヤブこぎアタックツーリングでもリッター36kmと、もはや「2ストは燃費が悪い」とは言わせないのである。
ついでにオイル燃費も大幅に改善した。リッター4000kmを超えている。
ちなみに、ビッグタンクは満タン15.7リットルと容量が増えた。膨らむみたいだ。
航続距離は600km以上になり、1泊2日程度のツーリングでは途中の給油が不要になった。