2stroke with powerband -It's always smokin' on the road


DT125Rいじり その18
バイク便ライダーと共同開発したシールド撥水剤 VISOR SCIENCE
平成25年10月8日 クランクオイルシール交換
積算距離103000km
走行中に信号で停止したら、エンジンがプスンと止まった。
キックするとエンジンはかかるのだがアイドリングが維持できない。
スロージェットが詰まったかなと思いながらも、試しにエアスクリューを全閉にしてみる。
すると、本来であればガスが濃くなって回転が下がるはずなのだが、回転が上がってくる。
これはクランク左側のオイルシールが抜けて2次エアを吸ってるなと判断した。
クランク交換後36,000kmでオイルシールがダメになった。
フライホイールを止めているナット外す。
エアインパクトレンチでガツンと一撃。
純正のフライホイールプーラーでマグネットを外す。バキッといい音がしてマグネットが抜けてくる。
マグネットを抜いたらコイルベースを固定しているボルトを抜く。
どのバイクでもこのボルトの頭はプラスになっている。締め付け時にトルクをかけすぎないような配慮なのか?
ボルトにはネジロックが使用されているので、インパクトドライバでガツッと一撃。
コイルベースを外したら、コイルに付いた汚れを確認し清掃しておく。
オイルシールが抜けてすぐのことだったのでほとんど汚れは無かった。
さて、オイルシールの引き抜きにかかる。
ここは学生の頃にバイク屋のおっさんに教えてもらった簡単ワザの登場だ。
オイルシールの表面には丸いポッチのようになっている箇所がある。
これはゴムの成型時にエアを抜くための穴の痕らしく、その部分のゴムが他に比べて柔らかくくなっている。
ここにキリをあてて穴を空ける。ゴリゴリやらんでもすぐに空く。穴が空いたら先端を切り飛ばした木ネジをねじ込んでいく。
木ネジの先端を切り飛ばすのは、先端が欠けてクランクケース内部に落ちてしまうのを防ぐためだ。
ちなみにこの位置からねじ込んでいってもベアリングの内輪に当たるだけなので、
ベアリング内部を傷つけてしまう心配は無い。
さて木ネジをねじ込んでいくと上右画像のようにオイルシールが浮き上がってくる。
いい頃合いだと思ったら木ネジをプライヤーでつかんで引き抜いてやればオイルシールは抜ける。
オイルシールを引き抜いたら中を確認する。
シャフトにオイルシールのリップ部分とスプリングが残っている。
シャフトを傷つけないように除去して、汚れも落としておく。
ベアリングの球にカーボンが付いているが
2stはこんなものなので気にしてはいけない。
無理に汚れを落とそうとして傷をつけては元も子もないので何もしないのが一番である。
新品のオイルシール。
リップ部分にシリコングリスを塗りつけておく。
オイルシールの圧入もバイク屋のおっさんに教えてもらった方法で行なう。
道具はオイルシールの直径と同じくらいの塩ビ管、これは外径42mm内径35mmのもの。
あとは外径40mmでM12のワッシャ。
オイルシール、塩ビ管、ワッシャ、ナットの順でシャフトに入れていく。
左手でオイルシールが傾かないように保持し、右手でナットを締めこんでいく。
そうすると大した力も要らずにオイルシールははめ込まれていく。
ねじ込み式である程度オイルシールがはまったら、
塩ビ管の尻をハンマーで叩きながら最後のはめ込みを行なう。
全部ねじ込み式で行はないのは、オイルシールが傾いて入ってしまわないようにするためだ。ツライチまでオイルシールが入ったら終了だ。
経験上、少々深く入っても、内側のベアリングとは充分な距離があるので気にしなくてよろしい。
オイルシールの圧入が終わったら、コイルベースを取り付ける。
取り付けボルトにネジロック剤を塗布することを忘れない。
シャフトにウッドラフキーをはめ込み、マグネットを取り付ける。
キー溝があるのでそれに合わせて差し込んでやる。
ある程度入ったら、ワッシャを忘れずに入れナットを締めていく。
回り止め工具でフライホイールを保持して、トルクレンチでナットを規定トルクで締め上げてやればOK。
この系統のエンジン、DT125R,DT200R,SDR200 LANZAなどはこのオイルシールの寿命が短い。
クランク右側のオイルシールはギヤオイルに浸かっているせいかあまり抜けない。
右側のオイルシールが抜けた場合はギヤオイルを燃やしていくので、排気煙が多くなる、
排ガスのにおいが変わってきた、エキパイの汚れ方などで判断する。